M200を導入に関して詳細なレポートをいただきました。
- Imaging Supersonic Laboratories Co.,Ltd.
- 2016年4月4日
- 読了時間: 5分
まず小生は、何か設備する時、色々な情報を得、且つ自作してどれが肝か調べる。市販品が良いか自作した方が良いか考え設備する。NCフライスは、ソフトハード共に自社製だ。設計の自動化と、その結果の自動加工する為もあるが、相手の材料はプラスティックなど金属以外が多く、市販NC装置は無駄が多い。加工速度が遅くせざるを得ないので複数のNCが必要な理由もある。 またスパッタリング装置は、小型で高性能の物が無いので、自作を設備した。 レーザ彫刻機では最初は市販品に良い物が無いので自作したが、10年前頃からこちらの目的に適した製品が出始めた為に1台、一昨年1台購入した。
3Dプリンタは、プリント時間が非常に長く、また積層間の接着強度など、余り良いものが出来そうにないので、使おうとも考えていなかった。が、今年になって何となく試してみる気になって、安いパーソナル用を1台、速度の速いキットを1台購入し試した。上記NCに市販で手に入る押出機やホットエンドなど部品を付けて色々試験した。 なお、3Dプリンタには色々な手法があって、例えば紫外線硬化樹脂を使った光造形型は精度高いが、材料の種類が制限されている問題ある。 粉体をレーザで溶かして積層する方法も社内のレーザ彫刻機にて試したが、粉の処理などあまり勝手が良くない。PS系など超音波減衰の少ない材料が使える熱融解型が、こちらの目的には今のところ一番よさそうである。
対象は以下とした。
弊社製品のケースの元の型(10x10x10cm以下)
実験など使う部品で機械加工では大変な形状の物。立体的構造物、非球面形状は旋盤やフライスで加工した複数の部品を組み合わせる必要があり、精度が必要なくても、それぞれ精度の高い部品でないと不味い。外注への発注の必要になり、週単位の時間がかかる。3Dプリンタなら1日以内で済む。
超音波試験用媒体。特殊な形の試験体の模擬を作れないか?あくまで期待。
将来可能なら0-3コンポジット振動子を自由な形状に加工する。ポリマーや0-3コンポジット振動子の融点が180度程度なので、3Dプリンタの温度とほぼ同じ。
鉄のパイプは、1m/s程度で造管できるが、プラスティック類は鉄の1/10程度の速度で作る。プラスティックでは速度を上げられない。プラスティックでは精度を保つため押し出し機の直後に水で冷却し固化する。外径は水圧で制御し、造管速度で肉厚(内径)を制御する。
200mm/sを超える3Dプリンタ・キットでは小径と大径のパイプを印刷すると寸法誤差が異なり、スライサーのソフトの大幅改造が必要で大変そう。また、押し出し後効率よく冷却する機構も重要であろう。
押し出し機がヒートヘッドからポリエチレン・チューブで伸ばした場合、ヘッドを加減速しながら、溶けたプラスティックの圧力を測定すると、圧が安定しない。実際層間の接着力に差が出る。
都市ガス管は最近中密度PEが使われるが、200度強の熱で溶かして繋ぐ。接合部は保護ポリエチレンに包まれた状態で現場に持ち込まれるが、保護ポリエチレンを外して直ぐに(数十分)溶かさないと、接着強度が落ちる。空中に浮いている小さな目に見えないゴミが接合部に付着し、溶けた接合した後、この小さなゴミが亀裂発生のもとになる。プラスティックの溶接条件は微妙で押し出し部の性能は重要だ。
ヘッドを動かすか、造形材を動かすか、両方動かすか色々ある。偶々NCフライスがこの3種に対応するものが設備にあったので、フライスの先端にホットエンドを付けて試したが、100mm/s程度の速度ではそれほど差は無かった。
ベースのプレートは造形物を保持固定する為に重要で、細くて高いものを造形する場合重要だ。一方取り外しが容易な方が良い。表面がツルツルの硬いセラミック、ガラス、金属はプラスティックの温度が下がるとはがれやすい。金属は表面が傷付きやすく、粗さがあるとアンカー効果でプラスティックが離れなくなる。熱伝導は金属が一番良く、熱伝導性セラミックもあるが高価で市販品3Dプリンタには使ってないであろう。取り合えず買ったパーソナル用のベースがガラスで、温度が室温に下がると、熱膨張の違いか、剥がす前に剥がれているときも有る。一長一短があるので、保守出来る構造であれば良しとしよう。
他にもいろいろ実験したが、結論は
超音波試験用媒体は対象から除く。積層間が完全に溶け混んでおらず超音波が反射し、その安定度も悪い為=一体ものと比べ、強度がその分低い。
余り速度は気にしない。(量産する訳でないので)それより、精度。
押出機構と冷却がよく考えられているもの。肝はここだと判断した。将来は圧力をフィードバック制御したり、超音波振動を与えて粘性を制御すればモットよくなるであろう。
基本構造は金属製で場所を取らない(造形範囲に対して全体が小さい方が強度=移動精度が良いであろう)し、邪魔にならない。
音が静か(音が静かと言う事は無駄な動きはしていないし、急な加速もしてない。更には機構が丈夫に作られている事も示す。)
既に購入してあるパーソナルとキットは造形だけなら良いが、精度を求めると問題が多い。当面精度の良い市販製品を設備として購入することにした。該当製品としては
Zortrax M200、UltiMaker2+,CEL Roboxなどがノミネートされたが、サンプル製作してもらって、パーソナル用とキットの3Dプリンタの結果と比べM200とした。
宅配代引きで届いたので、早速使ってみた。 NC加工機の横に置いたので、切削くずがはいるので、1mm厚さのビニールカバーを付けて設置した状態が以下の写真。上のカバーは使用時に外す。左に加工物を動かすタイプのNCが2台写っている。
パーソナル型、組立キットとM200を比べたが色々なパラメータが異なるので、ものに拠ってはM200が一番良くなるとは限らない。が、表面精度(直線性)の点では常に一番の様だ。静止状態で押出部やベースプレートに外圧を加えて変位を調べたら、M200を基準として、パーソナル型は概略3~5倍、キットでは5~10倍あった。機構の強度と精度が表面精度に影響している様だ。
